多重債務からの脱出

【初めに】

事業用の借入れ(銀行など)が不可能になってしまうと、商工ローンや社長や家族の個人借入れ(クレジットカードやサラ金など)によって事業用の借入れの返済や、運転資金に使ってしまうようになってしまいます。これが「多重債務」への一歩です。ご相談に来る事業主の方で事業用の債務はもちろんですが、多くの方がクレサラの債務を抱えていて、会社のみならず、個人も債務超過「多重債務」に陥っているのが現状です。
ここでは、個人の債務整理に使える方法を解説しています(やり方を多少変える必要がありますが、法人(個人事業)にも使える方法です)

【特定調停】

支払い不能になる恐れがある方(個人・法人)が裁判所の調停制度を使って調停委員が間に入って債権者と今後の支払い方法について話し合いで決める制度です。
利息制限法の上限利率より高い取引の場合は、利息制限法で引き直しの計算をし、利息の払い過ぎがあれば(過払い)元金に充当して元金を減らす交渉や、取引年数が短くて減額が出来なくても、今後の利息(将来利息)をカットして、元金のみ3年〜5年(36回〜60回)の分割払い交渉を申立人(債務者)に変わって調停委員がしてくれます。
基本は自身で行う為、費用も他の債務整理方法より格段に安く済みますし、申立てが受け付けられた時点で、債権者からの取立ては禁止されているので、厳しい取立てからも一時的ですが開放されます。そして勉強にもなりますし、成功した時には達成感を味わう事が出来ます。
しかし、利息制限法での引き直しにより過払いが発生した場合の返還請求は、特定調停の場では出来ませんので、一度債務不存在で和解してから訴訟(不当利得返還請求)を提訴しなければなりません。それと自身で行う為、それなりの勉強も必要ですし裁判所へと2〜3回程度(月1回ペース)通わなければなりません。
【任意整理】

弁護士または認定司法書士が代わりに代理人となって債権者と交渉してくれる方法です。
クレジットやサラ金のようなカード系や商工ローンからの借入れなどの利息制限法以上の利息の取引の場合は利息制限法に引き直し、減額・債務不存在(債務ゼロ)・過払い請求などの交渉をしてもらえます。特定調停では過払い金の請求が出来ないのに比べて、任意整理では過払い金の請求交渉もしてもらえますし、交渉決裂の場合には訴訟に移行することも容易です。
特定調停同様に弁護士(司法書士)から受任通知が届いた時点で債権者は債務者当人に取り立て若しくは債務者に対して直接の連絡も出来なくなります。大体の作業を専門家が代わりにしてくれるので、時間的な縛りは無くなります。しかしその分費用が掛かります(費用は個々によって異なりますので、ご自身でご確認下さい)。

【個人版民事再生】(個人再生)

民事再生法に定められている「小規模個人再生」「給与所得者等再生」を利用した債務整理の方法です。債務総額5000万円以下(住宅ローンを除く)であれば、再生計画により減額された債務を、3年間(特別の事情がある場合は5年)の分割支払いで返済していくという再生型の債務整理です。
特に住宅ローンに対しては住宅ローン特則が設けられており、住宅(自宅)を処分しないで債務整理できるようになっています。 また「破産」と違い現在の財産を処分する必要はありません。
再生計画により減額された部分は計画が遂行された後に免責となります。なお、個人再生は債権額の確定(利息制限法引き直しなど)など、債権者との交渉に手間がかかることから、弁護士・司法書士に依頼するのが一般的です。
個人再生には「小規模個人再生手続」と「給与所得者等再生手続」があります。

小規模個人再生手続
  住宅ローン等を除く債務が5000万円以下で、将来において継続的に収入を得る見込みのある個
  人(自営業者、農業等)の方が使えます。
  再生計画案に同意しない旨を回答しない債権者が(消極的同意といいます)債権者総数の半数に
  満たずかつ、その債権額が債権総額の2分の1を超えない時は「再生計画案」は可決されたものと
  みなされます。

給与所得者等再生手続
  小規模個人再生手続を利用出来る人のうち、給与等の定期収入を得る見込みがあり、その変動の
  巾が少ない方(サラリーマン、公務員、年金生活者等)が使えます。
  過去10年間に破産の免責決定を受けていないことや、過去10年以内に個人再生の許可決定を
  受けてないこと等が主な条件になります。小規模個人再生と違い債権者の同意は不要です。

個人版民事再生の最低弁済額
債務額
  最低弁済額
100万円未満 同等額
100万円以上500万円未満  100万円
500万円以上1500万円未満    総額の20%
1500万円以上3000万円未満  300万円 
3000万円以上5000万円まで  総額の10%

【自己破産】
裁判所にて所有資産と債務を清算し(破産宣告)残った債務を法的にチャラにしてもらう(免責許可)法的手続きです。 
(残しておけるもの)
99万円以下の現金
20万円以下の預貯金
見込額20万円以下の生命保険解約返戻金
処分価格20万円以下の自動車など
居住家屋の敷金・電話加入権・家財道具・差押え禁止されている動産または債権など

デメリットとしては官報に載ることや、信用情報センターに7年〜10年程事故情報が載る為、カードやローンが組みにくくなるとか、一度免責を受けたら7年間再度免責がおりないとか、その程度のものです。債務が全てチャラになる事を考えたら、軽いペナルティーだと思います。
免責がおりるまでの間は資格制限があり、一定の職業には就けませんが免責がおりれば資格制限は解除されます。
また、海外旅行に行けなくなるとか、選挙権がなくなるとかは一切ありませんので心配しないで下さい。
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